20251021

日記658

二人四脚

2025/10/18 一昨昨日
家人の発案で朝から埼玉まで出かける。登戸経由で小田急、南武線、武蔵野線とローカル線を乗り継いで東所沢にある角川武蔵野ミュージアムへ。武蔵野線には初めて乗った。さすがに今後乗ることはないだろう。
埼玉の田舎については人口の多そうな田舎という感想以外にないが、駅前の大道路に信号がついておらず横断歩道だけがあり、自動車が礼儀正しく歩行者に道を譲るので、田舎にしてはよくできている街だとすこし感心した。
武蔵野ミュージアムは令和時代のハコモノ文化を見せられているという感じで、企業のイメージアップに利するのかどうか微妙なところがあると思った。まあこれでいいならいいんじゃないだろうかといった感想。荒俣宏、松岡正剛、池上彰がフロントマンとして立っていた。それ自体が飾りとなっている本棚を使ったプロジェクションマッピングをやっていた。『昭和100年』という題で出来は良かったのではないか。黒板に印字された池上の文章を読んでいる人は、プロジェクションマッピングを見ている人の何分の一になるんだろうか。黒板には「昭和100年と言っても戦前と戦後を一緒くたに語るのには無理がある」というようなことが書かれていたのだが、こういった場所で字が読まれず、昭和100年という文字だけが目に映るというのはどういう種類の冗談なのだろうか。たしか皮肉といったか。
読んでいない本が大量にあることの圧迫感を普段図書館にいかない人にもすこしは感じやすいものにするという意図があるのかどうかわからないが、壁の両面が本棚になっているコーナーにはちゃんと圧迫感があった。
原宿で用事があるという家人と西国分寺駅で分かれ、来た道を戻るかたちで帰宅する。レンタサイクル(ハローサイクル)で環七を遡上し、高円寺まで行きバスケに参加する。腰を傷めないように加減して動いたのであまりハッスルできなかったのだがそれでもバスケは楽しい。運動能力の向上を目指していろいろ頑張ろうと思ってはいるのだが、実際には各所に痛みが出て動きがわるくなっていく。本調子なら、ということを思ってみてもしょうがないのでそのときやれることをやるしかない。怪我をしてもいいから痛みがどうなってもいいからという動きをしたいとは思わない。相当調子が上がっていてしかも勝敗が際どいならそういう気持ちになるのかもしれないが、そもそも痛みが出るとそれに気を取られはっきり調子が下がっていくからそういうことにもならない。まあそれでいいんだが。しかしまあ、それでいいんだけど、もっとがむしゃらにやってやれないかということを思わないでもない。120%を出そうとできるのも若さの利点なのかもしれない。出るかどうかはともかくとして。
メンバーの人に最寄り駅まで送ってもらう。この日はもう一人同道の人がいて当たり前のように駐車場の代金を出していた。20代とおぼしいのだが、ドライブ中の会話もしっかりするし、よくできた人だ。言ってる場合ではないが言わないで済ませることはできない。バスケもスラッシャーとして魅力のあるプレーをするスタイルで、しかもDJをやっているというのだからそれ以上はもう何も言えない。語るに落ちるの逆バージョンだ。車内でかかるかっこいい音楽についても食いついていた。なんでもディアンジェロというつい最近物故したアーティストらしい。新しい音楽を聴こうとしていると好きだった音楽を忘れてしまうからレコードを買おうと思っていると言っていて、記憶力の限界についてとてもわかると思ってしまった。好きなのに忘れてしまう、忘れてしまっていることさえ思い出せないというのはショックなことだ。ダンバー数という概念を知っていてもすこしの慰めにしかならない。
駅前に座ってお酒を飲みながら家人の帰りを待とうと思ったのだが急な腹痛に襲われてあえなく帰宅。翌日も朝早いので比較的早めに寝る。


2025/10/19 一昨日
家人の友人の結婚式で山梨まで出かける。新宿経由であずさ91号に乗って一気に小淵沢まで。新幹線であれば新大阪まで行ける時間座っていた。寝不足気味だが緊張していて一切寝付けず。実際寝過ごしたら長野県に突入してしまうので。
結婚式の場所は今まで参加した中で一番変わっている場所だったが、その分インパクトがあって楽しめた。自然の中にある会員制レストランが会場で、自分の店の料理人を駆り出していて料理は本当に言うことなし、言葉にするのもむずかしい美味しさだった。披露宴余興の企画も格付けチェックという盛り上がる内容を用意していて、企画者の意図した通りにならなかったことで予定調和ではない盛り上がりもあり、思わず泣き笑いの表情になるほど感動した。社長のスピーチには不意をつかれたのもあるがかなり感動してしまった。今までの結婚式のどの賓客挨拶よりも内容があった。なかでも結びの言葉はふたりの個人的な願い・ビジョンにも踏み込んでいて、美しい言葉だと思った。「ふたりの幸せが、世界の平和につながりますように」
文字にしても伝わりづらい、真率な声の響きがあった。真心としか言いようがない。技術的にはそこにいたるまでの前段や、話の流れが上手くデザインされていたということだと思う。かなり大幅に見直してしまったというと、普段どれだけ舐めたことを思っているんだと思われそうだが、実際それぐらいの反響が自分にはあった。もしハットを被っていたら間違いなく脱帽していたと思う。
披露宴の後、みんなでできる片付けを手伝い、車でコテージに移動して二次会に参加させてもらう。歓談したり歌があったり、イタリアへのテレビ通話があったり、ボードゲームのITOで遊んだり、盛りだくさんで気づいたら23時を過ぎていた。用意してもらった部屋で寝ることにした。
今回の新郎役の人は会話の力がとんでもなくあり、発話内容がおもしろいうえにいつも明朗な声量で回す力が強く、そのうえ締めるところは締めるので、目に見えて高い能力を持つコミュニケーターだ。だから過小評価されやすいタイプだと思う。安定して出力が高いタイプというのは慣れられてしまうものだし、「あの人はすごい」の一言で済まされがちになってしまうと思う。だからたぶん近しい人こそ声を大にしてブラボーと呼ばう必要がある。自分が会話において何も考えられておらず間を埋めるためだけに使う「ああ」「たしかに」「なるほど」「うんうん」という言葉を言っているのを聞いたことがない。圧倒的エンターテイナーで、しかもいまだ走力が落ちていない稀有なタイプだ。太刀打ちできないし、太刀打ちしようとも思わない。もしかするとそういうのも過小評価に結びついているかもしれない。手合わせしてみてあらためてそのすごさに気付かされるということが絶対にあるだろうからだ。
それでもなお言うことがあるとすれば、立場の高下など、社会的な規範のうえで縦横無尽な働きをするというタイプなので、そういった表舞台向けの社交能力に特化しているように思われるということだ。卑怯な寝技に持ち込もうとしているようで気が引けるのだが、そういう社会規範とはべつの舞台というのはあるよね、という話だ。そしてそれは決して小さくない領域だと思っている。自分はとくにそうだからかえって主張するのがむずかしいが、私秘的な領域はその存在感を増し続けているように思う。
関係ないが列席者の中にラボットがいて交流させてもらった。名前を聞いた瞬間から固有性を獲得し、質的な変化をみせるのがロボットペットの不思議なあり方だ。ラボットが特別かわいいとは思わないが、Mはかわいいと思った。(頭文字にするとよそよそしくなって嫌なほどだが、プライバシー上やむを得ない配慮だ)
熱い風呂に浸かって1時すぎに寝る。連続での寝不足は確定したが最小限に抑えた。運営側の大変さを思うと本当に気楽なゲストの身空でこれ以上望めないほど楽しませてもらい、感謝のしようもない。しかし寝不足は寝不足だ。


2025/10/20 昨日
8時半すぎに起床、だらだらと準備をして9時半に用意してもらったタクシーに乗る。相乗りで小淵沢駅まで。駅そばで山賊そばを食べる。でっかい鶏胸肉の唐揚げが乗っていておいしかった。
南アルプス天然水の工場見学は平日なのにもかかわらず満席で参加できず。代替の登美の丘ワイナリーの畑見学に行く。最寄りの塩崎駅まで移動し、タクシーで丘にのぼる。とてもよい景色を堪能しながらブドウ畑の前でワインを飲むと、他では得られない養分が自分の中に染み入るのがわかった。昨日の新郎スピーチにもあった”テロワール”という言葉の意味をツアーで実地見学させてもらい、その内容がより腑に落ちた。去年一年のあり方が今年に影響し、今年のあり方が来年に影響するというように季節のなかを貫いて連鎖していくのがおもしろいところだ。
なかでも発見になったのは、ワインはブドウだけで作られるためブドウの品種のちがいがワインのちがいをもたらしているというかワインのちがいそのものだということだ。言葉としてのみ知っていた「シャルドネ」が明確な味わいのちがいとして目前に現れた。甲州との比較試飲によって本当にぜんぜん違うということがわかった。シャルドネに言われる”バターのような”というのが本当にそのまま当てはまるのかと驚いた。喉のなかをもたつきながら流れていくのもブドウからイメージするような動きではなく、パンに合いそうな、というよりはパンのような麦のような、果実らしくない味わいがあった。食用品種ではなくワイン専用品種としておそらくシャルドネは別格なんだろう。38歳にしてようやくワインに対して目が開いた。次にシャルドネを飲むタイミングを楽しみにしたい。
2時間そこそこの滞在で登美の丘をあとにして次の目的地甲府へ向かう。電車の本数がきびしく限られるなか、かなり優秀な移動効率を発揮できた。甲府ではまずほうとうとそばの店に入ってそばを誂えて七賢という日本酒を冷やで飲む。ジュエリーミュージアムをひやかしてから小江戸小路を歩いて通過。城郭前公園でコーヒータイムにする。実験的な公園でスケボーで遊べるゾーンを設定していたり、モルックのような遊具を無料貸出していたり、運営者のやる気が伺えてよかった。甲府城の天守閣をかすめて駅にもどる。ちょうど特急「かいじ」が通りかかる時間だったのであわてて一番搾りを買い列車に乗り込む。チケットレスを駆使してスムーズな乗車ができた。あっという間に新宿に到着し、各停で最寄りまで帰る。
ほうとうの店で買ったおみやげのほうとうを家人に作ってもらって食べた。我が家のほうとうはカット白菜をふんだんに使っていてとても美味しい。海に眠るダイヤモンドの1話と2話を見る。情報が出揃ったあとで見ても答え合わせのような面白さがあって、よくできたドラマだと思った。1話の時点で最終話近くのシーンが出てきたりしていたので映画のような制作過程を経てそれをドラマ用に編集したのかもしれないと思った。ゆりこのことを知ってからみると2話の見え方が全然ちがった。2話のゆりこもそうだが、登場人物目線というのをうまくミステリーのパズルに使っていて上手いと思わさせられた。しかも決して書割ではなくそれぞれの主観として自立しているようにみえるのもすばらしい。
翌日は出社で朝早いので早めに寝ることにする。さすがにここらで寝不足状態を解消しないとまずい。


2025/10/21 今日
以前行っていた散髪屋の兄ちゃんに久しぶりに切ってもらいに行く。店の場所が変わって大きくなっていた。時間に遅刻してしまい、かなりの塩対応で施術がスタートする。カウンセリングも全然なしでカットを始めようとされたので不信感からカットをやめて今回はカラーにしてくださいとお願いする。休み明けで金髪を黒に戻さないといけなかったのでちょうどいいといえばちょうどよかった。しかしメニュー変更によって明らかに不機嫌になり、「真っ黒にしかできないっすよ」と言われる。せっかく金髪にしたので真っ黒にはしないでほしいと伝えるも、そんなの無理とすげなく断られる。これは話にならないと思ったので今回の予約は全キャンセルにさせてくださいと言って外に出ようとしたところ、たくさんのスタッフにかなり威圧的に囲まれた。それでも強引に抜け出すと広い店内を端から端まで追いかけられることになった。そのうちのひとりから泣き落としのような説得を受けようとする途中で目が覚めた。
朝から出社。ぎりぎり雨は降らなかった。
AMは前日の休みで溜まったメールとタスクの確認。午後からは打ち合わせをやってタスクを整理したり前に進めたりしているうちに定時近くになる。定時前に翌日の定例打ち合わせ前の軽い打ち合わせがあった。確認事項をクリアにして定時退勤する。
オフィスの入っているビル内のスタバに行こうと思ったが満席だったのでとなりのCITY BAKERYに入って日記を書く。20時前に書き終わったので電車に乗って帰宅する。

日記658

二人四脚 2025/10/18 一昨昨日 家人の発案で朝から埼玉まで出かける。登戸経由で小田急、南武線、武蔵野線とローカル線を乗り継いで東所沢にある角川武蔵野ミュージアムへ。武蔵野線には初めて乗った。さすがに今後乗ることはないだろう。 埼玉の田舎については...